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【新・関西笑談】世界で一つだけのパンを(5)(産経新聞)

 □「ブランジュリ タケウチ」 竹内久典さん

 ■目指すはもっとマニアックなパン 内容濃くこだわっていきたい。

 −−パン屋さんの朝は早いですよね

 竹内 早番は前日の夜10時に出勤し、朝4時半には全員がそろっている状態です。そこからは、パンに合わせた生活が始まります。

 −−といいますと?

 竹内 人間の都合に合わせると、何かしら、支障が出てしまいます。イーストの量を増やしたり、添加物を入れたり。そういうのを一切なくして、自然に作っていきたい。だからぼくたち人間がごはんにいくタイミングは毎日違いますし、5分で食べなきゃいけないときもあるし、トイレも辛抱したり。

 −−パンはデリケートなんですね

 竹内 そうなんです、待ってくれません。タイミングを逃すと100%のパンは焼きあがらない。1度温度が違うだけでも、全然違うパンになります。だから生地が冷たいときは風邪をひかないようにあったかい所に、温度が高くなると涼しい所に置いたり。そうしないとおいしいパンは焼けません。

 −−やさしくされるパンがうらやましい…。ところで大切に作られたパンですが、値段は意外と安いですよね。サンドイッチは260円とか、バゲットが230円とか。1個60円のクリのクリームの入った小ぶりのブリオッシュなんて、味も値段も大好きです

 竹内 トータルでみて損しなければいいか、と思っています。値段は見た目で付けています。原価計算はしません。

 −−ということは、ちっちゃいから60円、とかそういう感じですか?

 竹内 そうですね。さきほどのブリオッシュ、あれは原価が60円ぐらいかかっていますが、あの大きさで150円、というわけにもいかないので。

 −−大阪の有名レストランにもパンを卸していますよね。

 竹内 はい、ありがたいことです。今は20店ほど。そういうレストランのシェフの方との出会いから生まれるパンもあって、それがまた楽しくて。

 −−ミシュランの星付きレストランも多いので、実は竹内さん、七つ星ぐらいかもしれませんね(笑)。ほかの評判のパン屋さんものぞいたりされますか

 竹内 いえ、店をオープンしてから、よそのパン屋さんに買いに行ったことは一度もありません。知り合いの工房をのぞくぐらいのことはありますが。

 −−それは、なぜ

 竹内 もっと違うことを吸収したいから。パン屋さんと一緒のことはしたくないな、という意地です。でも、「あそこのパン、おいしい」と聞くと食べたいなと思います(笑)。そういうときはスタッフに買ってきてもらいます。

 −−今後はどのような計画ですか。お店を増やしたいですか

 竹内 絶対、それはないです。こぢんまりと、縮小したいです。

 −−縮小?

 竹内 はい、ずっと思っていることです。店を始めたときには、職人が2人、販売担当が1人の3人でした。それがどんどん増えてしまって、なんだか今は、昔のように内容の濃いパンが作れていないんじゃないかと思うんです。もっとこだわって、もっとマニアックなパンが作れたらなあ。=おわり(聞き手 岸本佳子)

                   ◇ 

 次回は元NHK解説委員の村田幸子さんです。

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